忍者ブログ
[1575]  [1574]  [1573]  [1572]  [1571]  [1570]  [1569]  [3283]  [1568]  [3282]  [1566
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

突然、母親が俺に聞いてきた。

「大林先生は、最後に何て言ったの?」

どうして今更そんなことを聞くのだろう。

「うちの校歌を作るのを頼みにいく時、先生もついてったんだって。
それで、『校歌を作って欲しい』って頼んだら、普通は大変ですねとか言いそうなのに、その人は『おもしろそうですね』って答えたんだって。
だからみんなにもそうやって、後ろ向きに考えずに何でもチャレンジして欲しいんだってさ。」

本当に最後に僕らに言った言葉を言おうか一瞬迷ったが、この場合は離任式に言った言葉を言うべきだなと思って、要点だけを伝えた。

すると母親は言った。
「……そう。やっぱり大林先生は、良い先生ね」と。

「なんでいきなりそんなこと聞くん?」と言ったが無視された。
部誌は渡していないので、俺のことが関係している訳ではないのだが、いきなりそう聞かれて慌てた。

先生は良い先生に決まってるよ。
あの人ほど、生徒のことを考えてる先生もなかなかいないから。


「左遷ですか?」
最後の日に先生にそう聞いたら、先生は笑っただけだった。
……左遷としか思えない異動だった。

うちの学校は、大林先生が中心となって作られた。
先生本人はそんな話をしなかったが、副校長がある公立高校の説明会に行った時に、大林先生が熱心にその学校について説明をしてたけど、それが終わってから、大林先生が38度以上の熱がありながらも説明をしていたことを副校長は知ったそうだ。
それで、『この人なら一緒に頑張ってくれる』と心打たれた副校長が大林先生に「一緒に新しい学校を作りませんか?」と声をかけたらしい。
(※うちの高校は新設校で、俺はその一期生なのです)

そうやって頑張ってきた学校で、ついに一期生が受験生になり、ついに今までの先生方の努力も報われる今年に異動なんて、開設準備室から参加し学校を作ってきた先生から見れば、左遷としか思えなかった。


そんな先生に「どうして行っちゃうんですか?」なんて、言える訳なかったしむしろ、「見捨てて行くのに申し訳ない」って謝った先生を見るのは辛かった。


先生は良い先生に決まってる。


今頃先生はまた無理をしながらも熱心に、教鞭を振るわれているのだろうな。
今まで無理をさせていた存在が、「無理をしないで下さい」なんて都合が良すぎるのにも程があるけどこれからもずっと、教育に身を捧げるのだろうなぁ…。
でも、先生はいなくなっちゃいけない人だから、どうか無理をせずにいて欲しい。
先生までいなくなっちゃ、あの人があまりも辛すぎる。
だから、先生はいなくならないで欲しい。



何かを知ってるような友達に
「親に期待をしない方法を教えて欲しい」と聞いた。
すると友達は「難しいな…。普通、子どもの希望にある程度は答えるものだと思うけど、希望通りの親なんて有り得ないしな…」と答えた。

なんかもう、答えられるどころか押しつけられている自分とはこの時点で次元が違うなって思った。
でも友達が出した結論は「親は何十年も自分より長く生きてきてるから今更考え方を変えるのは無理だろうから諦めるしかないね。最近は自分の子どもでも殺す親もいるんだし」というものだった。
……確かに、自分が今生きてるだけでもマシかもしれない。


無いものねだりをいつまで続けても仕方ないのだろう。
PR
Search
Calendar
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
Mount Archives
Profile
HN:
瀬戸真朝
性別:
女性
QR Code
material by:=ポカポカ色=
忍者ブログ [PR]