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「男は度胸、女は愛嬌って言うけど、
お前には愛嬌の一つもないよな。」
ある男子に、そう言われた。

「お前が俺をそう思ってるのは構わないよ。
そっちの方が都合も良いし」

そして一息ついて、俺は言った。
「俺が女だと思って欲しいと思う人以外はね」

すると、彼はこう返した。
「いや、お前が女じゃないのは公式さ」

俺は聞く。
「それはofficialの公式か、それとも数学の公式か?」
彼は言う。
「どっちもさ。
誰から見ても、お前は男だよ」
そう言って、彼は不敵に笑った。

別に、そいつが俺をどう思っていても構わない。

ただ、俺の一部分だけを見て「誰から見ても〜」と言われたのが、腹に立った。

俺の全てを知ってる訳じゃないのに、全てを知ってるかのように言う。
一体彼は何を、知ってるというのか。

僕が今まで女らしくやってこなかったのは、僕の過去や人格が関係してる。

でも一番は、友達をなくしたくなかったからだ。
特に男友達をね。

本来の僕は、“女の子”だ。
ゴスロリ服だって本当は自分が着たい。フりフリの服たちに囲まれたい。
黒い髪を伸ばしているのも、いつか着た時に似合うようにしたいからなんだ。
かわいいものが好きで、少女漫画しか読めない。
ドラマティックな恋を夢見る女の子なのだ。
笑っちゃうけど。

でもそんな人間に友達なんて出来るはずないし、特に男子は間違いなく引くだろう。
せっかく出来た友達なのに。

だからこんな道化師を私は演じている。
いや、いまやそれも私の一部だ。
苦痛だとは思わない。

だけど、それはあくまで一部分の私であって、“女の子”な私もいる。
ちゃんと、いる。そんな自分を見せたい思う人も、今までに少なからずいた。

だから、それすら知らないのに全てを否定されたのが辛かった。

でも、そんな奴だけじゃないのは知ってる。

誰もが「あいつがかわいそう」と口を揃えて言う中、ある男友達が言ってくれた。
私が「今は新しい恋がしたい。あいつには悪いけどね。」ってメールで言ったら、
「しろ 精一杯しろ 悪いと思う必要はないさ」
って返してくれた。

多くの人が僕のあいつで決めた道を否定する中、応援してくれる人がいた。
その言葉にとても、強くなれた。

分かってくれる人だけ分かれば良かった。
けど、分かって欲しいと思う人も増えた。

相手を分かることはまだ難しいけど、頑張りたいと思う。
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