忘れられるのが怖い

なんでだろう
なんで今、泣いてるんだろ

……いや、なんで泣いてるか本当は分かってる

一年後の春のことを考えてた

どうしても来る、さよならの日

友達とかとはまた、何かの縁で会えると思う
でも、そうじゃない人は？

あまりにも接点がなさすぎるんだ
もしかしたら卒業したら
もう二度と、会えないかもしれない

全部が欲しいとか
そんなわがまま、言うつもりはないよ

だけど
ずっと今のまま、ずっと　なんて、
話が良過ぎるのかな

あの子のことが羨ましくて憎いって言ったけど、
私も人の事は　言えないね

だって私も結局、
あの子と同じ事をしてるから。

汚いのは分かってる
どうしようもないことも、分かってる

でも、会いたい
毎日なんかじゃなくていいから
もっと接点があれば、会えるのに。

だって会わなかったらきっとすぐ、
私のことなんか　忘れちゃうよ

携帯のメモリーに私の名前もあるから
きっと少しの間は覚えててくれるだろうけど
でも、そんなの使わないから多分すぐ消しちゃうだろうし
（私もメールとか電話は望んでない）

ただ、たまに思い出してくれて
大人になってからせめて一度でも会えたらいいのに

こんなに、忘れられるのが怖い
なんて思ったの、初めて

私はもちろん、一生忘れることなんか出来ないのに
そんな私を簡単に忘れられてしまうのが、すごく悲しいなんて、
自分でもここまで思うとは思わなかった。

一年先の未来なんかよく考えられるね
なんて、思われるかもしれないけど

終わりが見えた瞬間、
不安で仕方ないんだ。

不安を止める術も、ない。
だってお別れは、
避けることも出来ない事実なのだから。

名前を思い出してくれるだけでも大層なことなのに、
“私”を思い出して欲しいなんて、叶わない夢なのだから。

一年後の私は、笑って
「さよなら」
と、言えるのだろうか

ううん、多分私は一年後も泣いているのだろう

叶わない夢に嘆き、泣いているのだろう。

思い出すどころか、ずっと見守っていて欲しい
なんて願いは一生、叶わないのだから。

私はいつだって無いモノねだり
だけど今回だけは、困らせたくはないから

だから私は笑って、さよならと言うしかないんだ

だから今、私は泣いている。
来るべき日に、笑顔でいるために。

もしも私を思い出してくれる日が来たら、

せめて笑顔の私を、思い出して欲しいから。

思い出して、欲しいから……