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歩いて5分もすれば君の家
寒空の下、ふわふわと漂うユキムシを追っていると
後ろから君がやってきた。

いつものエレベーターホール前で
久しぶりに会う君と
話続けること二時間
君は寒さに震えながらも
ずっと私の話を聞いてくれていた

「冬といえばみかんだよね」
「冬といえば干しイモだよ」
私の言葉に君は笑いながら返す。
「みかんだよ」
「干しイモだよ」
珍しく向きになった君だけど、
「みかん!」ともう一度私が言ったら
「はいはい、みかんね」と言って笑ってくれた。
そんな君をずっと前から好きだと気付いたのはつい数週間前。
たてえそれが本当の恋じゃないとしても、
確かに君への気持ちは他の人とは違っていた。

「来年のホワイトデーはプリン作ってね」
「いいけど、取りに来いよ」
「もちろん!」
いつもと変わらない、そんな些細なやり取り。
だけど君は、思い出したようにこう言ったね。
「あ、でもその時にはもうここにいないかもな」

「遠いよ」
私がそう言うと、
「近いよ。1時間半もあれば着くさ」と、君は笑って言う。
「でも滅多に会えないよ」
私がそう呟くと、
「今だっていつも会ってる訳じゃないし、何も変わらないよ」と君は言う。

それでも私は、行かないで、って言いたくなる
 

この街に君がいることが当たり前だと思ってた。
そんな保証も何もないのに。

みんなそれぞれの人生があって、
みんなそれぞれの夢がある。
それを叶えるには、
この街だけではあまりにも狭すぎる。

どんなに仲が良くても、
みんなずっとここにいる訳じゃなくて、
みんなそれぞれ旅立って行く。
遠く離れ離れになる

そんな当たり前のことに気付かないでいた私がいて。

行かないで、って本当は言いたかった。
だけど、旅立ちに想いを馳せる君を見て、
そんなこと言えるはずがなかった。

きっと、君が思っている以上に私は君が好きなのだろう
だから、ずっと片想いで構わないと思ってた
でもそれは、会いたい時に会えたからこそ言えた言葉で。

それでも、帰り際
もっと君と長くいることも本当は出来たけど、
そうするべき相手は私じゃないから、一人で帰った。

 
きっとこれから先も、
君以外とも、たくさんの人とお別れをするのだろう。
でも私は、そんなお別れに今から怯えてる。

だから、素直に旅立ちを応援出来るように、
どうか私に、変わらない人を下さい。
どんなにたくさんのお別れをしても、
絶対に私のそばからいなくならない人を下さい。

もうこれ以上、一人なのは嫌なんです

たった一人で生まれて
たった一人で死んでいく
そんな当たり前のことを、
当たり前だと言うには
私はまだ、幼過ぎていて
そんな当たり前のことを、当たり前だと受け入れられない。

だからせめて、
その時が来るまで一緒にいてくれる誰かが、私は欲しい。

 
私もこの街を出て行くかもしれない
だけどあまりにも今の自分じゃ、弱過ぎて一人になれない
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