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200704250006002

金曜の日記。
漆黒の闇の中ではなく青い空に浮かぶ、月。
まるで、セーラームーンのオープニングに出てくる月のよう。

その日は文芸部だったけど、部活に関して二年にメールできついこと言っちゃって行ける顔がなかった。
演劇もナポがいないって聞いてたから行く気が出なかった。
図書室にしばらくいたけど帰る気さえも出なかった。

その時ふと、天体観測をしたくなって自然科学部に行った。

暗くなるの待つためにみんなで漫画読んでたらふと、化学室の扉が開いた。

そこにいたのは、大林先生だった。


今日来るとは思ってなくて本当にびっくりした。
学校に毎月、給料明細を取りにくるとは言ってたけど 25日かと思ってた。

先生は「文芸部行ったら瀬戸は帰ったって言ってたぞ」って言いながら、
「後で(先生が来たことを)知って悔しい思いさせたかったから、瀬戸に見つからないようにしてたのに」なんてことを言い出した。
先生は何にも、変わってなかった。

先生が化学室に来たのは化学の先生に用があるからで、本当に偶然だった。
いつも演劇や文芸にいた俺だから、今日会えなかったら本当にショックだったと思う。

手紙と部誌を入れた封筒を受け取ったか聞いたら受け取ったそうだ。
……手紙以上に、あの作品が載った部誌を渡したかと思うと恥ずかしいけど、渡してよかった。
ここにも公開するかも。

自然科学部員含めて少し話した中、いつも一緒にお昼を食べてて文芸部で一緒の唯(ゆい)がこう言った。
「真夜、今日のお昼の時に『あと五日か…』って言ったんですよ!」

それは、誰も反応しないから聞かれてないと思っていた独り言だった。
“先生に会えるまであと──”と、いつも気がつけば数えていた。

唯を制止する中で先生を見ると、やっぱり変わらない笑顔をしていた。


5分くらいした後、先生がお帰りになる姿を見て、『次はまた一か月後なんだ』って考えると、辛かった。
今日みたいに偶然会えただけでもマシなのに、もっと会っていたくなってしまう。
去年までは、学校にいつもいるのが普通だったのに。


それから天体観測しながら、唯や黒猫とかと話してたけど、二人は「先生には絶対バレてる」と言った。端から見ていてバレバレらしい。

でも俺が、「でもあの人は、僕の気持ちを憧れだと思ってるよ。俺自身が自分の気持ちに気付いたのが冬だし」と言うと、
「いや、真夜の態度は最初から憧れには見えなかったよ。先生だって気付いてるって」と言い出した。
……そんなに態度が違ったのか、と不思議になったが
唯は「もしも憧れなら良いとこだけを見てるよ」って感じに言ってきた。

俺は最初から先生の全てが良かった(もちろん良くないよ思うところもあったけどそれも見方を変えれば良いところだった)し、何より憧れている他の先生と大林先生は僕の中で明らかに違ってた。
だから、唯の言うことは合ってると思う。

……ってことは、自分でも憧れだと思ってた頃から、先生にはお見通しだったのか……それは恥ずかし過ぎるorz
ここだけの話、高1の時に成り行きで演劇部入ったけど入部当初、幽霊部員でも良かったのに部活行く気が出たのは60%以上『先生に会いたかったから』ですよ;
……だって大林先生の授業が一つもなくて、演劇部の時に先生がどんなことしてるか言ってくる友達が羨ましかったのですよ!


でも唯も言ってたけど、先生は人の心を読み取ることに関してすごいからなぁ……今なら先生から『お前は教師になれない』って言われた意味も分かるし。

それに高1の最後の頃、演劇部関連ですごい追いつめられてて、大林先生に部活の雰囲気やバイトとの両立とか、色々と退部の理由を言ったんだけど、
「瀬戸が俺を言い負かすなんて10年早い」って言った後、
「今はつらいことがあっても、最後終わった時に得るものが必ずあるし、繋がりを切らない為にも幽霊部員でも良いからいなさい。」
と言って、退部を許してくれなかった。

あの時は本当に悩んでたから、「どうして先生は俺がこんなに苦しんでいるのにやめさせてくれないのだろう」としか思えなかったけど、幽霊部員でもいいという言葉に甘えることにして籍だけ残してた。
でも、行きにくくなってしまって、演劇には滅多に顔を出さなくなった。

だけど文芸部の合宿の時、突然先生から台本を渡された。
友達曰く、演劇部中に役を決める時、誰も先生の前で俺の名前を出してなかったのに、
突然『この役は瀬戸が向いてるからやらせる』と、言い出したかと思えば、既に先生はそう肯定していたらしい。
……ちなみにそれは、?先輩に恋する女子高生?の役だった。

忙しいから、と俺は断ったけど先生がそれを認める訳がなかった。
でももしもあの時、先生が俺に無理矢理でも役をやらせなかったら、俺は演劇部に今もあまり行かなかったと思う。

正直、俺は演劇部の存在を僻んでいた。
──役者をやりたかったのにバイトがあって出来なくて、なのに部活に出なきゃいけなくて、そんな日々を過ごしているうちに段々と、役者をやるみんなを恨んでいる自分がいた。その場にいるだけでイライラした。だから行きたくなかった。

でもそうやって強制的とはいえ、コンクールに出ることになって
段々と 仲間の大切さとか、演劇部で得たものとか
忘れていたものを、思い出した。


今は演劇部やめなくて本当に良かったって思うけど、
そう思えたのはやっぱり先生のおかげだと思う。

今になって思うと、先生はあの時に無理矢理僕に役をやらせたけど、
演劇に戻ってくるきっかけ を、先生は僕に与えたかったのだと思う。
つまり先生は、『役が俺に合ってたから声をかけた』じゃなくて本当は、
僕が演劇に行かないことを気にかけてて、わざと役をやらせたのだと思う。
あの時は気付かなかったし、思いこみかもしれない。
今となっては先生に確認も出来ない。

でも、それが大林先生だ。
たとえ恨まれてもどう思われようと目先の結果じゃなくて、最終的に生徒のためになることをする先生だったから。
それも、気付かれないようにさりげなく。、
──それを、いなくなってから気付く自分はまだまだ子どもだ。

……でも先生、?先輩に恋する女子高校生?の役を先生自身から薦めるのはちょっとズルかったですよ。
おかげで劇の最中、ずっと先輩のことを先生に当てはめて考えてしまっていたじゃないですか;
それに先生からその役を俺を薦めたって聞いて、正直恥ずかしかったんですよ、本当;
──先生から見える自分はこんな生徒なのかな、なんて。


でもそんなこと考えたって、俺の想いは先生に一生届かない。
1ヶ月に一度、先生とはたった少し会えるだけ。
それも、卒業したら生きているうちにまた会えるかさえも分からない。
何より、先生にとっての俺の存在はずっと、?ただの教え子の一人?から抜け出せない。
──私の手帳の中に先生の写真が入ってることを、先生はいつまでも知らない。


そんなことを考えながら、天文室にいた。
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