願ってしまったんだ

願っていた展開から外れて
また元通り？

　
他の人にも同じ言葉を言っているのに
私だけが考えてしまっている

なんて、滑稽で。

期待しなければいいのに
願わなければいいのに

それでも、特別な言葉を期待してしまって

　
あの人は、人を拒めない。
だから、否定する一言が言えない。
分かってる。分かってるけれど

　
これが、私でも
私じゃなくても
あの人は同じように言うのでしょう。

　
『好きだよ』
今思えば、作り笑いだった。
本当は違うって、分かってた。
だけど、いつの間にか願ってしまった。

あの時みたいに
髪を撫でられて
手を握られて
引き寄せられて

　
それも、もう、夢のような出来事なのに。

　
メールが来たことは、嬉しい。
用がなくてもメールしていいよ、なんて。
けれど、優しくされて喜ぶ私に
『優しくしてないから、普通だから。自惚れるな』
そう言って、釘を刺された。

誰とだって、普通なんですよね。
「いつの間にか、お前からのメールを待ってる自分がいた」
そう言ったのは、あの水曜日の夜だったのに。
まるで、何年も前のことのよう。

　
雰囲気に流されてたあの人は、夢から覚めて
私をただの後輩としか認識しない。
だけど今の私じゃあ、単なる先輩とは思えなくて。
求めている、人で。

　
先輩は、決して振り向かない。
それでも、忘れられない。

　

重たいよね。
それでも、際限なく続く孤独の手前に
微かでも希望があるなら
願ってしまった。
だから、傷付いた。

先輩にとっては最初から、冗談の一つでしかなかったのに。

　

登れなかった。
強くなれなかった。

欲しかった。
優しさが。

　
甘えてしまっている
単なる先輩に
迷惑しかかけない私が

離れなきゃ
少しずつ、でも

忘れなきゃ