街を駆ける

君が来る、と電話があった
今そっちにいるはずだよ
そう言われると、
少しでも早く会いたくて
家を飛び出して、街中を探し回った

走りながら、君に最初に何を言おうか考えた
『ごめんなさい』
『ありがとう』
二つの言葉が浮かんだけど
どちらも一番伝えたい言葉ではなくて。

その時、
『好き』って言わなきゃって思った
自分の言葉で
自分の声で
君が喜んでくれるとは思わないけれど

それでも君に会いたくて、
一番伝えたい言葉を抱えて、街を駆け回った。

　

ご飯も食べた後、シャワーを浴びていたその時、
やっと　全てが夢だったと気付いた。

夢の中の私は
君に会えることで喜びでいっぱいで、幸せで。
現実なんかより夢の方が幸せだった、なんて。

それでも私は、現実を歩かなくてはならない。
私の罪は夢の中のように
そう簡単に許されるものじゃない。

だけど、『生まれ変わったらまた出会いたい』なんて
前世の記憶を覚えているほど、私の記憶力は良くないし
生まれ変わるかなんて分からないのに
そんな不確実なことで、諦めたくなんかないんだ。

叶わない恋にしてるのも
悲しい恋にしたのも
誰でもない私が原因で、
誰かのせいに出来ない分、
私は逃げられない。

本当は制服デートとかしたかったし
なんで私、今一人なんだろって思うけど
それもこれも全部私が悪いから
今は我慢するしかない。

君はずっと一人で、
私のせいで他の人を愛せないのだから
私が今一人なのは当然だ。

でも時々幸せな夢を見るとどうしても
寂しくて悲しくて仕方なくなる

　
どこに帰るかは分かってるけど
帰り方が分からなくて
私は未だに、迷子のままだ。

忘れることが出来たらいいのに
君が私を忘れたように
私も君を忘れたらいいのに

でも忘れるにはあまりにも君の笑顔が強過ぎる