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「昔、周りからもかっこいいって言われてる人を好きになったけど、そいつは自分がモテるからって女の子をとっかえひっかえしててさ。
自分も結局そいつの浮気相手の一人になったけど、そういう件があってから、かっこ良かったり人気な人を選べなくなっちゃったんだよね」

私がそう言うと、そうやって冷静に相手を見れることは良いことだと彼は言った。
でも、私が選べないのはそういう意味じゃなかった。

「最初から無理って私は決めちゃってるんだよね。
自分で柵を作って、“この柵の中から良い人を探そう”
“柵の外の相手なんて自分じゃ無理だから、最初から手を出さないように”って感じでさ。
だから、今までずっとそうだったのに○○を好きだって認めたことに自分でもびっくりしてるよ。
7年間気付かなかったのだって、最初から叶う訳ないって思ってたからだと思うし。
だから認めることが出来た今の自分は成長したのかな、って思う。
あ、認めたからって○○の評価が下がった訳じゃないから!それは強調するよ」

私がそう言うと、彼は思いがけない言葉を返してくれた。
「でも、もしも今顕在意識だけで人を選べって言われたら
多分お前を選ぶことになるんだけどな」

しばらく、時が止まった。
私を…選ぶ?
彼が好きだなんで、身の程知らずのはずなのに。

「そりゃお前、生涯付き添う相手の理想は、
互いの伝えたいことが伝わって孤独を感じないとか、気が置けないとかそんなもんだろ」

確かに、そうだ。
そして私と彼はその条件に余裕で当てはまっている。
ただ、そういうこと以前に必要な
ただ一つの条件が当てはまらないだけで。

「じゃあ俺以上に、彼女と気が置かなくて済むようになれるといいね」
「ああ」
「いっそ、彼女と俺がフュージョンしちゃえばいいのにw」
「なんつー懐かしいネタだw」
「通じるか正直不安だったわw」
「DBぐらい分かるわw」

でも、彼が私じゃない誰かを好きになって、
いつかその人が私よりも気が置かない相手になれるといいね。

「まぁ、最悪誰もいなきゃ俺にしちゃいなよw
条件は余裕で当てはまってるからw」
「そうするよw」
まぁ、彼に限って
相手に困ることなんて有り得ないけどね。

 
ほーんと、
彼が私に好意さえあれば
私は彼の一番の相手なのかもしれないね。
彼に言われるまで、気付かなかったけれど。

柵の外の人は絶対に無理だと思っていた。
お呼びでない、って扱われるか
遊ばれて捨てられると考えていた。

でも彼は、そうじゃなかった。
それだけで、嬉しい。

「まぁ、おいらはワシだから上空から獲物を狙ってずっと飛んでいますよ。
大体、○○は押しに弱いしねw」
「そうだなw」
「だからずっと時が来るまで待ってますよ」

今は、まだだから。
春は、もうすぐだから。

終わりの物語に終わりを告げるまではずっと、
彼の周りを飛ぶしかないのだから。
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