この場所で

いつ来たって、
もうあの日は帰って来ない。

あの時泣いた部屋で、一人でいる。

それでもやっぱり、あの日は帰って来ない。

Only my key

ある一つの短編小説を読み終わった途端、涙が溢れ出した

泣ける話でもなんでもない、どこにでもいそうな男女の些細な話で、
始めにあらすじを読んでも、自分と同調する部分なんて何一つないと思ったのに

なのに、涙が止まらなかった
彼女の気持ちが、あまりにも強く伝わって来て、
しかもそれは、自分でも気付いていなかったものだから

　
初めてデートした時に
高いからいいって言ったのに
記念コインをプレゼントしてくれた

「寂しいから切れないよ」
そう言われて、時には二時間以上も長電話をしたこともあった

週末会うだけじゃ物足りなくて
二人だけの秘密の場所で何度も抱き合った

でもそれがいつから、変わってしまったのだろう

五千円以上もするＤＶＤを毎月いくつも買っておきながら、
私と過ごす時間で１００円使うのも勿体ないと言われるようになっていた

動画を見るために繋ぎ放題にしているのに
電話代が勿体ないと言って、メールしかしなくなっていた

あれだけ会いたがっていたのに
今では私から行かなければ、何日も会話をしなくなっていた

あれだけ求めていたのに
部屋に入るまでそんな素振りを見せなくなった

あぁいつから、私が１番じゃなくなっていたのだろう

　
私は私なりに、あいつが好きだった
でもそんな扱いをされるようになってから
どんどんと冷めていった

　
『あいつなら忘れさせてくれるかもしれない』
そう思ったこともあった
実際そう思っていた

だけど現実は、私には夢に溺れることしか出来なかった

　
涙は今でも止まらない
彼が全てを捨てて彼女を選んだから
二人は結局ハッピーエンドだったけれど、
あいつは決して、私を選ばない

結局私は、誰からも愛されない
だから決して、この話はハッピーエンドにならない

　
だから助けて
私を１番に選んでくれる、世界でたった一人の人
両親でも出来ないことが出来る、たった一人のひと

どうか私を救ってください
──くん

助けて
たった一人の──くん

You are only my key for me.

Only my key

ある一つの短編小説を読み終わった途端、涙が溢れ出した

泣ける話でもなんでもない、どこにでもいそうな男女の些細な話で、
始めにあらすじを読んでも、自分と同調する部分なんて何一つないと思ったのに

なのに、涙が止まらなかった
彼女の気持ちが、あまりにも強く伝わって来て、
しかもそれは、自分でも気付いていなかったものだから

　
初めてデートした時に
高いからいいって言ったのに
記念コインをプレゼントしてくれた

「寂しいから切れないよ」
そう言われて、時には二時間以上も長電話をしたこともあった

週末会うだけじゃ物足りなくて
二人だけの秘密の場所で何度も抱き合った

でもそれがいつから、変わってしまったのだろう

五千円以上もするＤＶＤを毎月いくつも買っておきながら、
私と過ごす時間で１００円使うのも勿体ないと言われるようになっていた

動画を見るために繋ぎ放題にしているのに
電話代が勿体ないと言って、メールしかしなくなっていた

あれだけ会いたがっていたのに
今では私から行かなければ、何日も会話をしなくなっていた

あれだけ求めていたのに
部屋に入るまでそんな素振りを見せなくなった

あぁいつから、私が１番じゃなくなっていたのだろう

　
私は私なりに、あいつが好きだった
でもそんな扱いをされるようになってから
どんどんと冷めていった

　
『あいつなら忘れさせてくれるかもしれない』
そう思ったこともあった
実際そう思っていた

だけど現実は、私には夢に溺れることしか出来なかった

　
涙は今でも止まらない
彼が全てを捨てて彼女を選んだから
二人は結局ハッピーエンドだったけれど、
あいつは決して、私を選ばない

結局私は、誰からも愛されない
だから決して、この話はハッピーエンドにならない

　
だから助けて
私を１番に選んでくれる、世界でたった一人の人
両親でも出来ないことが出来る、たった一人のひと

どうか私を救ってください
──くん

助けて
たった一人の──くん

You are only my key for me.

ほんの少しの期待も

それでも先生に会いたくて、授業に間に合わないけれど学校に行った

職員室や教室や廊下を探したし
背広を着た人がいたら後を追った。
それでも先生は見つからなくて。
その時、放送で担任に呼び出された。

そしてついに、その事実を告げられた。

これからは相当頑張らないと無理だ、と担任から告げられた。

頑張る、なんて言葉では簡単だけど
そうしなくては、
本当に私はこのままでいられない。

　
うっすらと気付いていたらしい担任は
ここが頑張り時だ、と言った。

その通りなのだけど
そうなのだけれど

　
担任と話している間に先生は職員室に入って来た。

だけど先生に言える言葉がなかった。
今どんなことを言ったって、嘘になってしまうから
だから、顔だけ見てその場を去った
　

英語の先生から授業に出なさいと声をかけられて嬉しかったし、
担任の言葉はその通りだった。
そして、先生は私の見えるところにいてくれた。

だけどそこに、私を救ってくれる人はいないことはもう分かってた。

　
帰り際、思っていることを全部吐いた
やっと気付いたからだ

どんなに異常を装ったって、
叱ってくれても
そこに救ってくれる人はいないことに

　
朝はもうない
夜が自分を朝だと名乗るだけだ

それが正しいのか間違ってるかなんて分からないけど
だけどそれでも、普通を装わなくてはいけない

だって私が生きる場所はここにしかないのだから

　
もう朝は当分やって来ない
それでも私は、朝と名乗ろう

朝が朝で
夜が夜でいられる日まで

　
愛しているからこそ、二人は一緒にいる
だけど私はその二人に愛されて一緒にいるわけじゃない
無条件で愛される存在だとは、よく言われるけれど。

また泣きたくなってきた

ほんの少しの期待も

それでも先生に会いたくて、授業に間に合わないけれど学校に行った

職員室や教室や廊下を探したし
背広を着た人がいたら後を追った。
それでも先生は見つからなくて。
その時、放送で担任に呼び出された。

そしてついに、その事実を告げられた。

これからは相当頑張らないと無理だ、と担任から告げられた。

頑張る、なんて言葉では簡単だけど
そうしなくては、
本当に私はこのままでいられない。

　
うっすらと気付いていたらしい担任は
ここが頑張り時だ、と言った。

その通りなのだけど
そうなのだけれど

　
担任と話している間に先生は職員室に入って来た。

だけど先生に言える言葉がなかった。
今どんなことを言ったって、嘘になってしまうから
だから、顔だけ見てその場を去った
　

英語の先生から授業に出なさいと声をかけられて嬉しかったし、
担任の言葉はその通りだった。
そして、先生は私の見えるところにいてくれた。

だけどそこに、私を救ってくれる人はいないことはもう分かってた。

　
帰り際、思っていることを全部吐いた
やっと気付いたからだ

どんなに異常を装ったって、
叱ってくれても
そこに救ってくれる人はいないことに

　
朝はもうない
夜が自分を朝だと名乗るだけだ

それが正しいのか間違ってるかなんて分からないけど
だけどそれでも、普通を装わなくてはいけない

だって私が生きる場所はここにしかないのだから

　
もう朝は当分やって来ない
それでも私は、朝と名乗ろう

朝が朝で
夜が夜でいられる日まで

　
愛しているからこそ、二人は一緒にいる
だけど私はその二人に愛されて一緒にいるわけじゃない
無条件で愛される存在だとは、よく言われるけれど。

また泣きたくなってきた

侵蝕

学校に行きたいはずなのに
どうして行けないのだろう

私が侵蝕されていく
私が私として存在出来ない
もう一人の私を隠しておけない
もう上手く笑えない

思い出さえあればひとりで生きられる
そう考えて居た私が間違いだった

ひとりでなんて、誰も生きられないのに

手放しちゃいけなかったのだ
最初からそれが間違いだった
　

救いを求めに行くか
それとも止どまるか
今の私は決断を強いられてる

だけどいつまでもこんなことをしてたら
卒業なんて、出来ないから

　
助けを呼ぼう
あのぬくもりを手に入れよう

たとえそれが本当に欲しいものではないとしても
私はひとりでは生きてはいけない
このままだと、もう私は、私じゃなくなる

　
誰かにしがみつきたいから
誰かにしがみつくことを
非難されるのなら、
「じゃああなたは本当にひとりで生きているの？」と聞きたい。

少なくとも今の私には
一緒に歩いてくれる人は誰も居ない。

どんな夜だって、
いつかは朝が来るはずなのに
朝がなくなって、夜は明けない
闇は永遠に続く

There is nothing a light.

侵蝕

学校に行きたいはずなのに
どうして行けないのだろう

私が侵蝕されていく
私が私として存在出来ない
もう一人の私を隠しておけない
もう上手く笑えない

思い出さえあればひとりで生きられる
そう考えて居た私が間違いだった

ひとりでなんて、誰も生きられないのに

手放しちゃいけなかったのだ
最初からそれが間違いだった
　

救いを求めに行くか
それとも止どまるか
今の私は決断を強いられてる

だけどいつまでもこんなことをしてたら
卒業なんて、出来ないから

　
助けを呼ぼう
あのぬくもりを手に入れよう

たとえそれが本当に欲しいものではないとしても
私はひとりでは生きてはいけない
このままだと、もう私は、私じゃなくなる

　
誰かにしがみつきたいから
誰かにしがみつくことを
非難されるのなら、
「じゃああなたは本当にひとりで生きているの？」と聞きたい。

少なくとも今の私には
一緒に歩いてくれる人は誰も居ない。

どんな夜だって、
いつかは朝が来るはずなのに
朝がなくなって、夜は明けない
闇は永遠に続く

There is nothing a light.

トメド泣ク

寝る前の記憶があまりない
気が狂ったように部屋を掃除していたと思う
気がつけば朝を迎えていた

ただ、おぼろ気に覚えているのが
テレビを見ていると
何故だか、あの春の日のことを思い出して
どうしてだか涙が止まらなくなってしまった事

行かないで
壇上に向かって心の中で叫び続けたけれど
そんなの所詮無力で、届くことはなかった声

行かないで、ってどんなに願っても
叶わないことを知った日

今までだって、お別れはあったけれど
その姿を失うことにただただ怯えた。

あの日、私は、全てに、絶望した。
　

出来る事なら、その腕にずっと甘えたかった
その中では、ただの無防備な子供でいれたから。

　

止め処なく　涙が溢れて
失ったものが何なのかを伝える

でも今更知ったって、
取り返す事なんて出来るはずもないのに

トメド泣ク

寝る前の記憶があまりない
気が狂ったように部屋を掃除していたと思う
気がつけば朝を迎えていた

ただ、おぼろ気に覚えているのが
テレビを見ていると
何故だか、あの春の日のことを思い出して
どうしてだか涙が止まらなくなってしまった事

行かないで
壇上に向かって心の中で叫び続けたけれど
そんなの所詮無力で、届くことはなかった声

行かないで、ってどんなに願っても
叶わないことを知った日

今までだって、お別れはあったけれど
その姿を失うことにただただ怯えた。

あの日、私は、全てに、絶望した。
　

出来る事なら、その腕にずっと甘えたかった
その中では、ただの無防備な子供でいれたから。

　

止め処なく　涙が溢れて
失ったものが何なのかを伝える

でも今更知ったって、
取り返す事なんて出来るはずもないのに

独りになる

ずっと部屋の片付けをして
テレビを夜通しつけ続けて

眠りの向こうで一人にならないように
ずっと起き続けていた。

一人が怖い
ひとりが怖い
独りが怖い

自分が独りだって知って、怖くなった
誰からも愛されない自分の存在に気付いて。

行かないで
どんなにそう願っても
みんな、それぞれ温かい居場所があって、
私はそこに入れない。

こんな孤独を、君も知っているのだろうね。
そんな君を孤独にした人間は、
他の誰でもない私だ。

だから今どんなに嘆いたって苦しんだって、
そうなって当然のことだ。

それでも眠れない夜に
温かさを乞うことは
許されないことなのでしょうか