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私の実家と同じような作りをした家に、
中学まで一緒だった私の友達何人かと、同じく中学まで一緒で私とそんなに仲良くなかった男の子と男友達のMと
そして、あの人がいた。

そんなメンバーでお祭りか何かに行った気もするし、もしかしたら家の中にずっといたかもしれない。
でも覚えていることは、たとえ同じ部屋にいても
少し離れた場所にいるあの人とは、一切話をしなかったことだ。

どこかから帰ってきて、私たちはその家にある大広間にいた。
そんな中、Mがふざけて私の鞄をあさり始めると、一枚の写真を取り出した。
それは中1の時に撮った、あの人の写真だった。

慌ててMから取り返すと、あの人は初めて私に向かって言葉を発した。
君がそんな写真を持ち歩いてるとはね。
そう言って、少し笑った。

その笑顔は嘲笑っているというより、僕が写真を持っていることに呆れて困っているような笑みだった。

僕は咄嗟に部屋から出た。その場にいることが耐えきれなかった。
あの人を困らせた自分を恥じた。

誰もいない廊下で、私は手に持つ写真を千切り始めた。
破って破って破いた。

写真のかけらを手に包み込むように持っていると、音を聞き付けたあの人が後ろからおいって呼び掛けてきた。
トイレに捨てるの!底も見えないくらい深いから!
あの人に向かってそう言って、階段下りてトイレへと急いだ。
どうしてそのトイレが、実家と同じ汲み取り式のトイレだと知ってたかは分からないけど、トイレは暗くて深い穴に繋がっていた。

私は写真のかけらをトイレの上に掲げると、手から飛び出していたかけらが一枚、ヒラヒラと落ちていった。
いつのまにか追いついて私の後ろにいたあの人はその光景を見ていた。

やめろよ
そう言った途端、あの人の上着の中に私は押し込められた。
あの人の胸の中、私は聞いた。
「ゆ…るして、くれ…るの…?」

いつのまにか口から発していたその言葉は部屋を漂うだけで、答えられる者は誰もいなかった。

夢の中でさえも、その問いに答えてくれなかった。

ベットから起きあがると、朝の5時だった。
体育が二時間もあって疲れていたせいで、本を読んでいたら夕飯も食べずに早く寝てしまっていた。

長い長い夢を見ていた。長過ぎて記憶も曖昧なくらいの夢。
前日に久しぶりに悠とケンカしたことが関係しているかは分からない。

でもはっきりと覚えているのは、あの人に許しを乞う自分の姿。

夢の中のあの人にそんなことを聞いたって仕方ないのに僕はまた、聞いてしまっていた。

そんなに許してもらいたいのか。
許して貰えたら罪が消えるとでも思っているのか。
こんな夢を見る自分に呆れてしまう。

夢の中でさえ答えてくれないあの人から
現実で許されることなど有り得ないのに。

中学時代からずっと鞄に入れてたその写真はもう、持ち歩いてはいない。
あの人のことはもう、好きではない。

もちろん、世界で一番素敵な人という評価は変わってはいないけれど、
既婚者で40歳も越えている先生の方がまだ、叶う気がしてしまう。
それぐらい、違う道を歩んでしまっている。

許されることなどないのに。
愛されることなどないのに。

もう一度会えたとしても、会話さえも出来るはずないのに。
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